歯科医院の情報をどこまで院内掲示すべき?~院内掲示すべき事項①~

 歯科医院を運営する先生方は、院内にどのような事項を掲示すべきか迷われたことがあるのではないでしょうか。
 院内掲示をすることにより、注意事項を事前に患者様にお知らせすることができるため、トラブルを未然に防ぐことが期待できます。
 また、院内に掲示しなければならない事項もあります。
 今回は、歯科医院の情報に関する院内掲示について説明いたします。
 なお、院内掲示しなければならない事項として、個人情報に関する事項もありますが、これについては別の記事で説明いたします。

1 医療法上院内掲示しなければならない事項と方法

 まず、医療法上、院内掲示しなければならない情報があります。以下では、院内掲示しなければならない事項とその方法について説明します。

1―1 院内掲示しなければならない事項

 医療法第14条の2では、院内掲示に関し、以下のような規定が設けられています。

医療法第14条の2
病院又は診療所の管理者は、厚生労働省令の定めるところにより、当該病院又は診療所に関し次に掲げる事項を当該病院又は診療所内に見やすいよう掲示しなければならない。
①管理者の氏名
②診療に従事する医師又は歯科医師の氏名
③医師又は歯科医師の診療日及び診療時間
④前3号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項

 このように、医療法では、歯科医院の管理者の氏名、診療担当の歯科医師の氏名、歯科医師の診療日及び診療時間等を掲示しなければならないとされています。
 また、厚生労働省令の定める事項として、病院の場合に限り、建物の内部に関する案内を掲示しなければならないとされています(医療法施行規則第9条の4)。

1―2 院内掲示の方法

 院内掲示の方法としては、行政からの通達で、以下のとおりにする必要があるとされています(平5.2.15健政発98)。

  1. ①病院、診療所又は助産所の管理者は、前記2に掲げる事項(注:上記1-1で掲げた事項)を当該病院、診療所又は助産所の入口、受付又は待合所の付近の見やすい場所に掲示しなければならないものであること。
  2. ②診療に従事する医師又は歯科医師が複数いる場合においては、そのすべての氏名並びに各医師又は歯科医師の診療日及び診療時間を掲示しなければならないものであること。

 このように、院内掲示の方法としては、歯科医院の入口、受付又は待合所の付近の見やすい場所に掲示する必要があります。

2 療養担当規則上院内掲示しなければならない事項

 療養担当規則上、院内掲示しなければならない代表的な情報は、以下のとおりです(療養担当規則2条の6・5条の3第4項・5条の4第2項)。

  1. ①歯科疾患総合指導料に関する事項
  2. ②食事療法の内容及び費用に関する事項
  3. ③保険外併用療養費に係る療養の基準

 上記の具体的な掲示の内容については、通達等で定められています(昭56.5.29保険発44、平8.6.21保険発99、平18.3.13保医発0313003等)。そのうち、主なものは以下のとおりです。

歯科医院の情報をどこまで院内掲示すべき?~院内掲示すべき事項①~

 上記に関する院内掲示は、施設基準の一部となっており、掲示がないと要件を満たしていないことになりますので、注意してください。

3 院内掲示した方が良い事項

 上記は、院内掲示しなければならない事項ですが、その他に、院内掲示した方が良い事項としては、自由診療における予約のキャンセル料が挙げられます。
 キャンセル料の具体的な定め方については、以前に書いた予約のキャンセルに対してキャンセル料請求できる?の記事を参照してみてください。

4 まとめ

 院内掲示すべき事項は多岐に渡っており、特に保険診療に関する事項は施設基準の一部になっていますので、歯科医院を運営する先生方にとっては注意すべき事項といえます。そのため、院内掲示している事項については、年に1回は確認しておいた方が良いと思います。
 なお、院内掲示すべき事項については、上記以外に個人情報に関する事項があります。この点については、別の記事で解説いたします。

The following two tabs change content below.
弁護士法人ピクト法律事務所
担当弁護士櫻井良太
歯科医院を経営する先生方は、診療のことだけでなく、医院の経営もしていかなければなりません。経営に関する問題は様々な法律が関わっており、一筋縄ではいかないものもあります。先生方の経営をお支えします。ご気軽にご相談ください。

関連記事

運営者

ページ上部へ戻る