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マウスピースの矯正治療で注意すべき点は?

最近の矯正治療では、インビザライン等、マウスピース型の器具を使用した矯正が増えてきています。

マウスピースによる矯正治療は、治療中も目立ちにくく、取り外しがしやすい等のメリットもあり、普及しはじめているといえます。

一方で、治療の効果等を巡ってトラブルも発生しており、治療を行う先生方は、トラブルの未然防止策を考える必要があるといえます。

今回は、マウスピース型矯正装置の法的位置づけ及び矯正治療を行う際に先生方が注意すべき点について説明いたします。

1 マウスピース型矯正装置の法的位置づけ

まず、マウスピース型矯正装置が法律上どのような規制を受けるものなのかを解説します。

1-1 マウスピースは「医療機器」ではない

現行法上、マウスピースは、国内外で製作されたものを問わず、厚生労働省の薬事承認された医療機器とはされていません。

そのため、国外で製造されたマウスピース型の矯正装置は薬機法の規制を受けず、雑品扱いとして輸入することが可能です。

もっとも、国外で製造されたマウスピースを使って治療する場合、マウスピースに起因して発生した損害については、歯科医師個人が責任を負うことになります。

1-2 マウスピースは国内で誰でも作成できる?

3Dプリンターが広まってきたことにより、歯型をデータとして入力できれば、歯科技工の技術を有していない人でも作成することができます。

もっとも、国内で製作されたマウスピース型矯正装置は歯科技工士法上の「矯正装置」に該当するため、業としてマウスピース型矯正装置を国内で作成するのは、歯科医師または歯科技工士でなければできないとされています。

そのため、国内で製作されたマウスピース型矯正器具を使用して治療を行う場合には、誰が製作したものなのかを確認する必要があります。

2 マウスピース型矯正治療を行う前に説明すべき事項

マウスピース型矯正治療を行う前に、先生方が説明しておくべき事項と特に注意すべき点につき、以下で解説します。

2-1 メリット・デメリットを伝える

マウスピース型矯正治療をするに際しては、その治療を患者さまが理解したうえで同意してもらう必要があります。

そのため、マウスピース型矯正治療のメリットのみならず、デメリットも伝えたうえで、治療に同意してもらうことが重要です。

メリット・デメリットを患者さまに伝える方法としては、書面を交付したうえで、口頭で説明する方法をお薦めします。

口頭での説明だけですと、説明したことの証拠が残らず、書面の交付だけですと、理解していなかったと言われてしまうことがあるからです。

書面を交付して説明したことについては、同意書でサインをもらうことに加え、カルテにも書いておくと良いでしょう。

なお、一般的に、マウスピース型矯正治療のメリットは以下が挙げられます。

  1. 矯正していることが目立たない
  2. 簡単に取り外し可能
  3. 金属アレルギーの心配がない
  4. 一般の矯正治療よりも痛みや違和感が少ないと言われている

一方、デメリットとしては以下が挙げられます。

  1. 歯並びによっては、対応できない症例もある
  2. 取り外している時間が長いと治療の効果が期待できない
  3. 睡眠時の歯ぎしり等によってマウスピースが破損する可能性がある
  4. 一般の矯正治療よりも時間がかかることが多いと言われている

2-2 他の治療法も紹介する

マウスピース型矯正治療を行うことができる患者さまは、他の治療方法でも矯正治療を行うことができる方が多いと思います。

その場合、類似の効果が期待できる他の治療方法を説明したうえで、マウスピース型矯正治療を選択してもらうことが必要となります。

患者さまのなかには、マウスピース型矯正治療を受けに来たという方もおり、その場合、他の治療方法の説明は不要とお考えになられる先生方もおられるかと思います。

しかし、このような場合でも、あとになって他の治療方法の説明を受けていないなどと言われ、トラブルになることもあるので、しっかりと説明することが重要です。

2-3 自由診療の説明

マウスピース型矯正治療は自由診療となります。

自由診療を行うに際しては、保険診療の説明に加え、施術費用や解約条件等の説明も必要となりますので、書面等を用いて忘れないように説明してください。

自由診療を行う際に説明すべき事項として、以下の記事もあわせてチェックしてみてください。

3 まとめ

矯正治療は、自由診療の場合がほとんどであり、患者さまの負担金額も大きいことから、歯科治療のなかでも、患者さまとのトラブルが多い類型といえます。

患者さまから消費者センター等に苦情申立てがなされる事例も多いことから、実際に、矯正治療を特定商取引法の対象とするか否か(特定商取引法の対象とされると、クーリングオフ制度等の適用対象となります)についても議論がされているほどです。

マウスピース型矯正治療は最近増え始めていますが、その治療のできる対象が限られていることや治療の効果についての理解が必ずしも広まっておらず、トラブルとなることもあります。

矯正治療を取り巻く環境は上記のようになっておりますので、先生方としては、マウスピース型矯正治療を行う前に説明すべき点をしっかりと説明をし、トラブルを未然に防ぐことが重要になります。

マウスピース型矯正治療に際して、この記事を参考にしていただけたのであれば幸いです。

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弁護士法人ピクト法律事務所
担当弁護士櫻井良太
歯科医院を経営する先生方は、診療のことだけでなく、医院の経営もしていかなければなりません。経営に関する問題は様々な法律が関わっており、一筋縄ではいかないものもあります。先生方の経営をお支えします。ご気軽にご相談ください。

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