歯科医・医院さまの法律相談は弁護士法人ピクト法律事務所
    

歯科医院を開設・開業する際の手続と注意点

現在勤務医として働いている先生方のなかには、将来独立開業を考えている方もいらっしゃると思います。

いざ独立開業をするとなった際に、歯科医院の開設手続に手こずったり、開設に際してトラブルがあると、良いスタートをきることができなくなってしまいます。
そのため、独立開業に備え、歯科医院の開設手続や開業に際しての注意点は、今のうちから把握しておいた方が良いといえます。

今回は、独立開業を目指している先生方向けに、歯科医院を開設する際の手続と注意点について説明いたします。

なお、以下では、最も一般的な独立開業形態である、歯科医師の先生が無床の歯科医院を開設する場合を念頭に置いています。

また、歯科医院ではなく、医療法人を設立したいという先生は、以下の記事をご参照いただければと思います。

1 歯科医院開設の流れ

歯科医院の開設の流れは、以下のとおりです。

歯科医院の開設の流れ

では、個々の流れについて説明します。

1-1 事前相談

歯科医院の開設の場合、医療法人の設立と異なり、認可等は必要でなく、いつでも開設をすることができます。
もっとも、開設後10日以内に、所轄の保健所に対して診療所開設届等を提出する必要があり(医療法8条)、書類の内容に問題があった場合や構造設備等が基準に適合していない場合、届出を受け取ってもらえず、書類を出し直したりしなければならなくなるため、予定していた開業の時期が遅れてしまうという問題も生じかねません。

そのため、歯科医院を開設する前に、開設予定の自治体の担当部署に行き、届出について事前に相談しておくと良いでしょう。
事前相談をしておくことにより、その後の届出を予定どおり行うことができ、滞りなく開業することができるようになります。

1-2 施設完成・開設

施設が完成すれば、開設をすることができます。
この時点では、保険医療機関の届出をしていませんので、保険診療をすることはできません。

1-3 開設届

歯科医院を開設した後、10日以内に、所轄の保健所に対して診療所開設届を提出する必要があります。

診療所開設届には、以下のような書類を併せて提出します。
より具体的な提出書類については、所轄の保健所のホームページをご確認ください。

  1. ①管理者の臨床研修等終了登録証の写し及び歯科医師免許証の写し(原本の確認もあり)
  2. ②管理者の職歴書(履歴書)
  3. ③診療に従事する歯科医師の臨床研修等終了登録証の写し及び歯科医師免許証の写し(原本の確認もあり)
  4. ④発行後6か月以内の歯科医院の所在する土地及び建物の登記事項証明書(賃貸の場合には賃貸借契約書の写しも提出)
  5. ⑤敷地の平面図
  6. ⑥敷地周囲の見取図(道路と建物の位置関係が分かるもの)
  7. ⑦建物の平面図(縮尺100分の1以上のもの)
  8. ⑧エックス線装置を設置する場合、診療用エックス線装置設置届
  9. ⑨診療所への案内図

1-4 実査

開設届を提出した後、実際に保健所の監視員が歯科医院まで赴き、届出事項と齟齬がないかどうかを確認します。

1-5 社会保険手続

歯科医院が保険診療を行うためには、診療所開設届提出後、保険医療機関の指定を受ける必要があり、そのためには、管轄の厚生局に対し、保険医療機関指定申請書を提出する必要があります。

なお、保険医療機関指定申請書を提出してから、指定が受けられるのは、1か月程度の時間を要し、指定を受けるまでに行う診療については、全て自由診療となり、遡及適用はされません。
そのため、実際の開業に際しては、保険医療機関指定の時期等を考慮する必要があるといえるでしょう。

保険医療機関指定申請書には、以下のような書類を併せて提出します。

  1. ①診療所開設届の副本または受理証明書
  2. ②保険医登録票の写し
  3. ③開設者の歯科医師の写真を貼付した履歴書
  4. ④診療に従事する歯科医師の免許証の写し
  5. ⑤敷地の平面図
  6. ⑥建物の平面図(縮尺100分の1以上のもの)
  7. ⑦エックス線装置を設置する場合、診療用エックス線装置設置届
  8. ⑧診療所への案内図

1-6 保険診療の開始

保険医療機関の指定を受ければ、保険診療を開始することができます。

2 開設に際しての注意点

歯科医院の開設に際して、生活保護法による指定の医療機関になる場合や、労働者災害補償保険法に基づく保険医療機関の指定を受けたい場合には、これらの指定を受けるための申請書を提出する必要があるといえます。

また、歯科医院を開業した際には、税務上も、「個人事業の開業・廃業等届出書」等の税務書類も提出しなければなりません。

3 まとめ

今回は、歯科医院を開設・開業する際の手続と注意点について説明しましたが、いかがでしたでしょうか。
保険医療機関の指定を受けた歯科医院を開業するには意外に時間がかかることを知っていただき、滞りなく開業できるようにしてもらえればと思います。

The following two tabs change content below.
弁護士法人ピクト法律事務所
担当弁護士櫻井良太
歯科医院を経営する先生方は、診療のことだけでなく、医院の経営もしていかなければなりません。経営に関する問題は様々な法律が関わっており、一筋縄ではいかないものもあります。先生方の経営をお支えします。ご気軽にご相談ください。

関連記事

ページ上部へ戻る