検索サイトへの体験談掲載~医療広告ガイドラインに関するQ&A④

 このサイトでは、「医療広告ガイドラインに関するQ&A」に基づき、具体的な禁止事例や注意事項を複数回に分けて説明してきました。
 今回は、医療機関の検索が可能なウェブサイト等における患者様の体験談についてQ&Aが改訂されたため、医療広告ガイドラインにおける患者様の体験談の位置づけを含め、説明いたします。

1 患者様の体験談と医療広告ガイドラインの関係

 医療広告ガイドラインでは、「患者その他の者(以下「患者等」という)の主観又は伝聞に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談」を広告禁止事項としています。

2 「患者等の主観又は伝聞に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談」とは?

 「患者等の主観又は伝聞に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談」とは、医療機関が、患者自身の体験や家族等からの伝聞に基づく主観的な体験談を、当該医療機関への誘引を目的として紹介することを意味します。
 「治療の内容又は効果に関する」体験談に限定されているため、その他の体験談(ex スタッフへの御礼の言葉)であれば禁止されません。
 なお、個人が運営するウェブサイト、SNSの個人のページ及び第三者が運営するいわゆる口コミサイト等への体験談の掲載については、医療機関が広告料等の費用負担等の便宜を図って掲載を依頼しているなどの事情がない場合には、広告に該当しませんので、禁止ではありません。この点に関し、今回Q&Aで改訂されました。

3 医療機関の検索が可能なウェブサイトに掲載された患者様の体験談

 「医療広告ガイドラインに関するQ&A」では、医療機関の検索が可能なウェブサイトに掲載された患者様の体験談につき、以下のような説明がなされています。

  1. ・特定の医療機関の体験談に誘引性がある場合には、広告規制の対象となり、治療等の内容又は効果に関する体験談を掲載することはできない。
  2. ・例えば、医療機関が患者やその家族に(有償・無償を問わず)肯定的な体験談の投稿を依頼した場合は、当該体験談には誘引性が生じる。
  3. 一方で、医療機関の検索が可能なウェブサイトに掲載された体験談が、医療機関からの影響を受けずに患者やその家族が行う推薦に留まる限りは、誘引性は生じない。
  4. ・しかし、医療機関が患者やその家族に(有償・無償を問わず)肯定的な体験談の投稿を依頼していない場合であっても、例えば、当該ウェブサイトの運営者が、体験談の内容を改編したり、否定的な体験談を削除したり(当該体験談が名誉毀損等の不法行為に当たる場合を除く)、又は肯定的な体験談を優先的に上部に表示するなど体験談を医療機関の有利に編集している場合、それが医療機関からの依頼によって行われたものであるときには誘引性が生じる。
  5. また、仮に医療機関の依頼により行われたものではないとしても、事後的に医療機関がそのように編集されたウェブサイトの運営費を負担する場合には、当該編集された体験談に誘引性が生じると考えられる。

4 患者様の体験談の掲載に当たっての留意事項

 このQ&Aとガイドラインからすると、医療機関の検索が可能なウェブサイトに掲載された患者様の体験談において注意が必要なことは以下のようにまとめることができます。

  1. ・特定の医療機関の体験談に誘引性がある場合には、治療等の内容又は効果に関する体験談を掲載することはできない。
  2. ・体験談を恣意的に取捨選択・編集している場合、それが特定の医療機関からの依頼により行われている場合には誘引性が生じる。
  3. ・仮に医療機関からの依頼により編集等が行われたものではないとしても、事後的に医療機関がウェブサイトの運営費等を負担する場合には、当該編集された体験談に誘引性が生じる。

5 まとめ

 上記Q&Aの掲載に当たっては、その範囲が広くなりすぎるのではないか、新しい技術に対応できる内容になっているのか等の観点から、検討会で議論がなされていました。
 今後も同様の議論がなされることが予想されていますが、新たな変更事項があり次第、このサイトで紹介させていただきます。

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弁護士法人ピクト法律事務所
担当弁護士櫻井良太
歯科医院を経営する先生方は、診療のことだけでなく、医院の経営もしていかなければなりません。経営に関する問題は様々な法律が関わっており、一筋縄ではいかないものもあります。先生方の経営をお支えします。ご気軽にご相談ください。

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